君は悪魔か少女になって

来世は高校球児になりたいOLの日記

友人の結婚報告というデフォ

私は今、目の前のOLから「お見合いで出会った男と結婚することにした」という報告を受けている。

25歳、社会人三年目。私たちは、内定式の後に行われた飲み会で意気投合し、そこからの日々は浴びるほど酒を飲んで過ごした。クラブに行くわけでもなく、ナンパについていくわけでもなく、ただただ永遠に飲んでいた。

社会人になった当時の私は10代の時からお付き合いをしている彼氏がいて、「なんとなく今の人と結婚するんだろうな」なんて思いながら、日々の小さな諍いや不満を彼女にぶつけ、彼女もまた「なんなん、最低やな!!」と言いながら私の話を酒の肴に酔いつぶれてくれる人で、簡単に言うと「悪友」だった。「一生幸せになれそうにないな」と互いの人生を呪っては乾杯した。いい友達を持ったな。

そんな友人の、結婚報告である。

「「仕事辞めて家庭に入って欲しい」なんで言うもんだから、期末のノルマ地獄にソレ言われたら、まあそれもいいかと思っちゃってさ、へへ•••」

なんておめでたい話だ。羨ましい。羨ましすぎてゲロ吐きそうだった。

基本的に人の幸せ報告を素直に受け付けられない悲しい人種だけど、めずらしく嬉しく思った。でもその何百倍も「さみしい、無理、置いていかないで」と思った。3年ぐらい婚約期間ねえかなと思った(あるわけない。それは婚約概念の崩壊)。

大した結婚願望を持たず、かといって今の仕事にさして情熱があるわけでもない。実家通いならここが一番稼げると思ったから入社しただけなので、大して地元にいる理由もない私にとって「地元の友達が結婚する」ことは孤独死へのステップアップを意味している様に思えた。

結婚する意味を周囲に一心不乱に聞き回る頭のおかしい時期もあったが、精神的な理由(いつでも一緒にいれる、いつでも自分の味方になってくれる等)を言われると「えっ・・・それは婚姻関係がなくても成り立つのでは・・・」と思い、制度的な理由(行政の助成や控除が受けられたりなんたり)を言われれば「仕事を辞める口実じゃ・・・」と思ってしまう汚い大人になってしまった。早く成仏したい。

絶対結婚したくない、なんて思ってないけど「自立」していることに妙に固執している自分は、将来をともに過ごしていけると思った人の手を、自分から何度も離してきてしまった様に思う。何やってんだ。腹立ってきたよ。

「クオーターライフ・クライシス」、25歳は人生の転換期への絶望を一身に受け止め戦う時期なんだって上司に説き伏せられてるんだけど、マジで余計なお世話すぎない?勝手に絶望してると思われてた。うるせー!!!!!でもたしかにそういえば、職場で隣の席に座ってる同期、結婚してるし妊婦なので本当に同じ生き物か?って思うくらいに人生に共通項が無いな。絶望しよ・・・

 

そんなこんなで来年結婚する悪友。

美人でスタイルが良く資産家ご令嬢でありながら豪傑で、素直で、情感豊かな彼女。わがままで世間知らずで酒グセの悪い彼女。かけがえのない友人の報告だけは、「よかったね」って笑って送り出してあげよう。