君は悪魔か少女になって

来世は高校球児になりたいOLの日記

マクロスF

5億年ぶりに『マクロスフロンティア』を見た。

 

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リアルタイムで観ていたのはいつなんだろうと製作時期を確認したら、2007年でした。

中学生ですね。あ〜こわいこわい。

 

今思えは私が知性を携えた一人の人間として初めてちゃんと観たアニメが、この『マクロスフロンティア』でした。当時完全な厨二病だった私はアルト・シェリル・ランカの三角関係にハスハスしたり、同人誌を買いにまんだらけに足繁く通ったりしていました。

厨二病の時はマジで毎日がエブリデイだったので(?)、毎日興奮で発狂したり、病みまくったりして楽しかったな。

若いって素晴らしい。

 

今の自分からは想像も出来ないほどに感情の振り幅が大きい毎日でしたね。

笑ったり泣いたり怒ったり。

めっちゃ燃費悪いなぁ。

あんなに毎日を一生懸命に生きてたのすごい。

二度とあんなに感情的には生きられないと思うと、なんだか寂しいよ。

 

 

 

当時からランカのことは苦手だったので、

 

「絶対ランカとは友達になりたくないなぁ」

「でもどうせ男どもはこういう女が好きなんだろ」

 

という感想が当時と全く同じ温度感で出てきたあたりは成長の無さを感じました。

中学の頃、時を同じくしてマクロスを見ていた友人(男)はみんなランカを応援していたけど、その感情は私は一生理解できないと思う。

 

 

でも、26歳で改めて『マクロスフロンティア』を見終えたときの私は、中学のときの感想とは全く違う感情をもった。

 

 

恋愛的要素を大切にしつつも、これは、アルトという一人の青年が困難の中で成長し、様々な決断して、「自分はなんのために生きるのか?」を問い続ける壮大な人類愛の物語なのである。

その中で出会う、天真爛漫で引っ込み思案なヒロイン・ランカと、孤独を抱えるスーパー歌姫・シェリルという2人の女の子。お互いに作用しながら、時に傷つけあい、そして支え合いながらフロンティアのために戦うんですよね。

                        

だから、単純な恋愛の三角関係なんかじゃないし、

そもそもアルトの気持ちは一貫してシェリルに向いている。

 

これは劇場版『マクロスフロンティア イツワリノウタヒメ』をご覧になった方ならお分かり頂けると思いますが、TV版でもアルトはずっとシェリルのことが好きだったことに気づかされました。

 

アルトという実直で堅物な昭和男は、歌舞伎役者一族に生まれ、一度は役者の道を志すも「本物の空が見たい」という願いを叶えるためS.M.Sに入隊。バジュラとの戦いは命ひとつ簡単に潰えてしまうような危険なものであると承知した上での決断でした。

そもそもこの「本物の空が見たい」というのは彼が12歳の時に病死した亡き母の願いでもあったという点からも「誰かの為に生きること」や「誰かを守ること」と大切にしている人間であるということがうかがい知れますね。でもアルトはいつも孤独で、どこまでも自己犠牲的な男でもあった。

 

実際アルトは入隊するとき、オズマに「俺は俺一人の力で生きる。死ぬ時も一人だ、それでいい」と口にしている。けれど24話で初めて、バジュラとの最後の戦いを前に、シェリルに対してこう告げに来た。「俺は必ず帰ってくる。其れだけ言いに来た。人は一人じゃ飛べない、飛んじゃいけない。それが分かったから。」と。

 

おそらくはもう長くは生きられないシェリルに「必ず戻る」と伝えることは、アルトが「もう自分には帰る場所がある」と自覚したことを意味するんですね。守りたい大切な誰かができたアルトに、ババアは泣きました。よかったね。

 

シェリルとランカのどっちかを選ぶというよりも、アルト自身が最終的に自分の居場所を見つけ、「愛する人のために闘う」と気づけたことがこの物語の命題だったんだなぁと思いました。

 

なんていい物語なんだ。

 

ランカは天真爛漫で自己中心的な人間性がどうしても苦手だけど、壮絶な生い立ちを背負い、愛する人と分かり合えない中で、最後まで投げ出さずに課された宿命を全うした姿は素晴らしかったと思う。

 

でも、人類滅亡の危機がすぐそこに迫っているのに、アルシェリがハグしてるところを目撃しちゃっただけで感情的になり「・・・歌えないよ!」って戦うのやめちゃうところは何回見てもムカつく。とりあえず歌えよ!!!!!!!!!!

 

アルトと決別するシーンで去り際に「さよなら、大好きでした」っていうところも嫌い。

アルトが一生引きずったらどうしてくれるんだよ。

相手のその後の人生を考えろよ!!!!!!!!と何度見ても思うし、こうやって好きな男の心の中に爪痕残そうとするのズルいなあ、と思いましたが、切なすぎてめちゃくちゃ泣きました。(泣いたのかよ)

 

 

なんだかんだ、一番多くのものを背負って、燃え尽きそうな命を「歌うこと」に費やし生きるシェリルが一番好きですね。自信家に見えて一番コンプレックスが強く、愛されることを求めながらも心の底から絶望している。

「私には歌しかないのよ」と言うけれど、そんなシェリルの歌に助けられた人間がたくさんいることを知って「あなた(ランカのこと)が希望なら、私は絶望の中で歌うわ」と、地下シェルターの中で『真空のダイアモンドクレバス』を歌う場面は、死ぬほど泣きました。幸せになってほしい。

彼女の絶望を理解し、抱える痛みを肯定してくれる人間がいてよかったと思う。

 

 

 

「なんのために人は生きるのか?」という壮大な命題は、最終話のグレイスとの戦闘シーンにおけるブレラ・アルトの発言、

 

「どこまでいっても、人はひとりだ!」

「だけど・・・」

「一人だからこそ!誰かを愛せるんだ!!!!!!」

 

という部分に答えがあるように思います。

人はみんなひとり。だからこそ。

さようならがすぐそこにあるからこそ。

 

 

 

そうですね。お気づきかと思いますが、これを書きながらも私は泣いています。

 

 

 

劇場版マクロスF イツワリノウタヒメ』ももう一回観るもん・・・。

 

 

みんな幸せになってね・・・。